Q1
教育基本法が変わることが、どうしてそれほど大きな問題なのですか。法律は時代や状況に応じて改正するものでしょう? Q2 子どものいじめや自殺、不登校、荒れる学級など、学校には問題がたくさんあります。それらをなんとかするためにも法律の整備は必要なのではないですか? Q3 全面的な改正というけれど、何がどう変わるのですか? Q4 クリスチャンの信仰にとって、何か影響はあるのですか? Q5 具体的にクリスチャンの先生や生徒が困ることが、何かありますか? Q6 「愛国心」を教えるのが問題だといわれますが、新・教育基本法では「愛国心」という言葉そのものを使うのをやめ、「統治機構としての国を愛するわけではない」ということを政府が確認したので、それほど問題ないのではないでしょうか? Q7 クリスチャンも、国を愛することは大事なのではありませんか? Q8 新設の第十条(家庭教育)はキリスト教界でも重視していることですね? |
Q1
教育基本法が変わることが、どうしてそれほど大きな問題なのですか。法律は時代や状況に応じて改正するものでしょう?
A1
他の法律と違い、教育基本法は「教育の憲法」と言われるように、この国の教育に関する基本理念を定めた理念法です。前文に「(日本国憲法の)理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」とあったように(新・教育基本法では削除)、その理念は、戦後の民主憲法と密接不可分の関係にありました。1947年に施行された教育基本法は、戦前の軍国主義・国家主義的教育に対する反省・批判に基づいて制定されたものです。どのような国民を育成していくかを左右する教育の基盤を据えるこの重要な法律の改定は、やがてこの国の基盤を据える憲法の改定につながっていく前段階といえます。ですから、普通の法律のように時代に合わせて簡単に変えてよいものではないのです。それを国会では、十分な審議を深めることなく、「やらせ」タウンミーティングで世論を偽装してまで、拙速に、しかも文言の一部修正ではなく全く変えてしまいました。新・教育基本法では、戦後の民主教育の価値観が否定され、むしろ戦前に逆戻りするような国家主義的な価値観が醸成されようとしています。国が戦争を始めるには、それに喜んで従い協力する国民が必要です。新・教育基本法はその下備えともいえるような、国が定める道徳的な規範に従う国民の「心」を調達する役割を果たすという性格を帯びています。
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