1. いったい何が問題なのか

  1. 国旗・国歌「法制化」の問題点

  1. 法制化の手続きについて

 一九九九年の臨時国会は、新ガイドライン法やいわゆる盗聴法など、重要法案が次々と可決、成立しました。
 それも当時のいわゆる自自公(自由民主党・自由党・公明党)が数の論理で押し切ったもので、そのような中で、「国旗・国歌法」も成立したのでした。充分な審議や議論がほとんどなされず、一部の人々の思惑がまかり通ったということは、良心に基づく声がかき消されたり、国民のあらゆる自由に抑圧が加えられたりするのではないかという疑いをもたせるものでした。

  1. 法制化の意図について

 ところで、「国旗・国歌」の法制化の動きは、具体的には、「日の丸、君が代」の扱いをめぐって自殺に追い込まれた、広島県の県立高校の校長の事件が発端でした。それからあわただしく法制化となったのですが、しかし、「日の丸、君が代」は、文部省が学習指導要領を通じ、長年かけて浸透させてきたものであって、降って沸いたような話ではありません。先の学校長への圧迫は、実際には教育委員会によるものの方が強かったと言われますが、教育現場の混乱を静めるという大義名分を見出した国が、一気に勝負に出たような形です。
 このように、この法制化はかなり恣意的なもののように思われます。国が行き詰まると台頭してくるのはナショナリズムです。経済、教育、福祉など、あらゆる分野が総右傾化していると言われる、この国の方向性に関することです。